飼い主が恋しすぎて心の病にかかった犬。その救世主となったのは子猫だった。
アメリカのペンシルバニア州のあるご家庭にて、最もなついてる家族が出かけると落ち込む犬の不安を緩和すると同時に、愛犬の悲しむ姿に心を痛めていた一家をも救った猫がいる。
その猫の名はピートといい、動物保護団体に身を寄せていたメインクーンのミックスだ。
飼い主の不在にふさぎ込む高齢のゴールデンレトリーバーに寄り添い、落ち込み続ける彼女の心を引き上げたピートは、年齢差どころか種族の違いにもとらわれない寛大でポジティブな子猫だったのだ。
大好きな飼い主が出かけるたびに不安でふさぎこむ犬のルーシー
ジョー・ゲッツとリンジー夫妻の家には3歳と6歳の子どもと、もうすぐ10歳になるゴールデンレトリーバーのルーシーと9歳の猫ベイリーが暮らしていた。
彼らは幸せな一家だったが、愛犬に関する深刻な悩みを抱えていた。夫のジョーに最もなついているルーシーが、彼の出張のたびに泣き崩れ、ひどくふさぎ込んでしまうのだ。
ジョーは仕事の関係上出張がとても多い。ジョーのスーツケースが消えるなり鳴き始め、一日中ベッドにこもり、お風呂場に行くのも嫌がるほどだった。
そうこうするうちにルーシーの分離不安病はさらに悪化し、とうとう獣医が抗うつ薬を勧めるほどになっていた。しかしルーシーはすでに甲状腺の薬を飲んでいたため、夫妻はそれ以上の薬を与えるのは気が進まなかった。
ルーシーを安心させるために様々な方法を試みるもすべて失敗
薬でなくてもルーシーが安心する方法を探そう。そう思ったリンジーは、さまざまな方法を試した。テレビ電話でジョーの顔を見せたり、ベッドで寝たきりになるルーシーを動かそうとしてジョーの匂いがする服を使ってみたりもした。しかしまったく効果はなかった。
この状況はリンジーの心も疲弊させた。ジョーの出張がいけないのだ、と思うようになってきたリンジーは、ルーシーと一緒にいることがどんどん辛くなってきていた。
そんな時、動物好きな子どもたちがもう一匹のペットを増やしてほしいと言い出したのだ。
運命の出会い!子猫がルーシーの心に効く最良の処方箋に
そこで彼らは猫を飼うことにした。ペンシルバニア州のシェルターで目に留まったのは、ピートという子猫だった。
「ピートは無邪気で明るくて人懐っこく、おっとりしてる猫です」という紹介コメントを読んだ一家は、この子ならすぐに家の環境にも慣れてくれるかもしれないとの期待を胸にピートを家族として迎え入れることとなった。
こうしてある日の午前にゲッツ一家にやって来たピートだが、最初は犬とにぎやかな子どもたちに面食らって固まり、しばらく隠れていた。
だがまもなく生来のおっとりとした性格が表れ、子どもたちとすっかり仲良くなった。だがそれだけではない。その日の夜には老犬のルーシーと一緒にソファに寝るほどの関係を築いてしまったのだ。
おばあさん犬と子猫。いまでは離れられない間柄に
それは一家も目を疑うほどの出来事だった。子猫のピートが犬に馴染みがあったのかどうかは不明だ。だが、おばあちゃん犬と物おじしない子猫は今や離れられない間柄となった。互いに寄り添ってくつろぎ、毛づくろいをして一緒に遊ぶ。ルーシーにはピートという最高の仲間ができたのだ。
さらにピートのすごいところは、ルーシーの分離不安症を少しずつ治していることだ。最近のルーシーはジョーのスーツケースが消えると泣きはするものの、気分の落ち込みはずっと軽くなってきている。
ゲッツ一家にとって、もはやピート無しの暮らしはありえないという。彼らはピートが家に来てくれたことを心から嬉しく思っている。彼の天性の前向きで穏やかな性格がルーシーの犬生を変え、一家を明るくしてくれたのだ。